《未発見の小惑星観測所》《Obsorbatory of Undiscovered Asteroids》

《未発見の小惑星観測所》《Obsorbatory of Undiscovered Asteroids》

《Obsorbatory of Undiscovered Asteroids》2020

paper, ink, wood, LED, iPad, earphone with microphone, telephone
number, step ladder, notebook / work in progress


《未発見の小惑星観測所》2020

紙、インク、木材、LED サイン、iPad、マイク付きイヤホン、
電話番号、脚立、ノート / ワークインプログレス

外出自粛期間中にすっかり定着した「ソーシャルディスタンス」という言葉は、地域社会で生活する私たちの日常を一変させたように感じます。日常からささやかな会話が失われると同時に、普段の名前も知らない他者と交わすさりげない会話が、実は社会全体に彩りを添えていたことを再発見する社会現象であったと言えます。
 一方で、例えばWeb会議システムを用いて、普段は参加できない遠方の講演やディスカッションに参加していると、他者の声は、息づかいや話のテンポなどは意外なほど多くの繊細な情報をもたらしてくれる発見がありました。
 これらの経験から、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた人々が行うコミュニケーションの変容を特に「話し声」に着目して、作品に反映させました。具体的には、道路に面したガラス張りのギャラリー内で公開制作を行いました。公開制作中に訪れた人は私に電話をかけることができ、電話をその人にとって特に重要な場所とか、強く印象に残っている場所の話を伺い、私はその会話を元に地図を想像し、その集合から一つの「未発見の小惑星」のドローイングを描いています。
 「未発見の小惑星」とは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛期間中に、異様なほどの静けさに包まれた横浜を一人で歩いていたときに、都市のイメージはどのように変化するか想像してみたことから始まりました。
 同じ光景を目撃しているはずの他者がいないと、都市をなぜかとても遠く離れた場所のようだと感じたのは、まるで確実に存在しているけど見ることのできない未発見の小惑星と都市はどこか似ているからなのではないかと考えました。
 実は、誰とも共有することのできない「都市の記憶」はお互い数光年くらい離れているのかもしれません。では、たとえ誰も見ていなくても、都市は都市でいられるのでしょうか?当プロジェクトは、ワークショップを通して、数光年離れた先に漂っている都市のイメージに思いを馳せる試みです。

Photo by Yasuyuki Kasagi

制作風景/work in progress Photo by Yasuyuki Kasagi

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